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| 狩人と犬、最後の旅(2/2) |
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半世紀にわたって、ロッキー山脈で罠猟を続けてきた “最後の狩人”(原題はLe Dernier Trappeur/最後の狩人)と呼ばれる実在の人物ノーマン・ウィンターが、カヌーで川を下ってくる、最愛のリードドッグ、ナヌクとともに。たぶん毎日毎日繰り返されているであろう平凡な彼らの日常の一コマが、壮大なユーコンの風景の中に描き出され、映画は静かに始まる。 ユーコンは南に英国領コロンビア、西にアラスカ、東に北極北西領土、北にボーフォート海をのぞむカナダの北西部に位置し、大自然の宝庫として知られる山や谷の集合体である。ユネスコから世界遺産として指定されているクルアネ国立公園を含むこのユーコンの雄大な自然の美しさが、スクリーンいっぱいに広がる。一日中太陽が照り続けるユーコンの夏、氷原に覆われ氷点下50℃にもなる極寒の冬、そしてオーロラの出現……. 撮影に一年以上を費やし、ユーコンの四季折々の素晴らしさ、雄大さ、厳しさを余すところなく見せてくれる映画だ。 自身も冒険家であり(06年3月に犬ぞりでシベリア横断8000キロ走破という偉業を達成)、小説家、写真家でもある監督・脚本のニコラス・ヴァニエだからこそ撮れた、このユーコンの自然の驚異的なまでに美しくも厳しい風景に触れるだけでも、この映画を観賞する価値があると思えるほど感動的だ。 ノーマン・ウィンターはインディアンの妻と7頭のイヌたちと、このユーコンに暮らしながら、狩りを通じて生態系を調整し、長く受け継がれてきた自然を守り抜くことに、誇りと生き甲斐をみいだしてきた狩人。しかし森林の伐採によって年々そこに住む動物たちは減少し、生きる目的を失いかけたノーマンは、今年限りでロッキーを去る覚悟をしていた。 そんなノーマンが運命的に出会ったのが、シベリアン・ハスキーの“アパッシュ”だった。レース犬として育てられた生後10ヶ月のシベリアン・ハスキーが、チームとして息をあわせながらも個々の能力が求められるそりイヌとして、すぐに役立つ訳もなく、また狩りに出ても足手まといになるばかりで、ノーマンは彼女に「ダメイヌ」のレッテルを貼ってしまう。(妻のネブラスカはアパッシュの素質を見抜いていたようだが……) そんなある日、薄氷地帯で氷が割れ凍てつく湖水に落ちてしまうノーマン。彼の命を救ったのは他でもない、ダメイヌだったはずのアパッシュだった。 やがて厳冬のユーコンに鳥がさえずる穏やかな季節が訪れ、リードドッグとして育ちつつあるアパッシュが母になる。アパッシュとの信頼の絆、そして新しい命の誕生に明るい希望を見いだしていくノーマンだった……. フランスで、06年アカデミー賞ドキュメンタリー部門を受賞した『皇帝ペンギン』や日本でも大ヒットとなった『ディープブルー』を凌ぐ興行成績を記録した映画『狩人と犬、最後の旅』。8月12日からテアトルタイムズスクエア、銀座テアトルシネマを皮切りに全国順次ロードショーになる。 暖かさと冷たさ、平穏と危険、優しさと厳しさ……といった相反する世界を堪能させてくれる素晴らしい映画だ。特にユーコンの厳冬の描写は見事で、いつまでも目に焼き付いている。もう一度観たい!8月のロードショーを待って、また劇場に足を運ぶことになるだろう。
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